ほのこblog

スタジオジブリ作品すきを伝えたい◯

1 ハウルの動く城

児童文学作品「ハウルの動く城」の世界観を取り込み、自分の伝えたいこととともに混ぜてことことお鍋で煮てみたら、世界で一つの素敵なスープができました。

 

…表現するならこんな感じでしょうか。

 

そのスープを作ったシェフはなんて素晴らしい力の持ち主でしょうか。感嘆せざるをえません。


まずはソフィーという女の子。荒地の魔女にお婆ちゃんになってしまう魔法をかけられてしまいます。そこからソフィーの魅力がむくむくと現れてきます。お婆ちゃんになって、それまで可愛くない自分にコンプレックス(可愛いのに、どうしても派手で華やかな妹レティと比べてしまうんでしょうね)があったソフィーにとって、年をとってお婆ちゃんになることはそのコンプレックスから解放されます。だってお婆ちゃんになれば顔の造形などそんなこと、誰も気に留めませんしね。ソフィーの表情も冒頭のどこか厳しい面持ちから一変、笑ったり微笑んだり明るく感情のままの豊かな表情に変わっていきます。しかしカルシファーが言ったこのセリフ、「こんがらがった呪いだね」そう、荒地の魔女の魔法だけでなく、ソフィーはソフィー自身にも魔法をかけてしまったのです。自分は可愛くない、そうした負のコンプレックスは、自分を歪め複雑にします。そうした女の子はたくさんいるんじゃないでしょうか。痩せたい一心で食べられなくなったり、視線が怖くて背中が曲がってしまったり、マスクが手放せなかったり…。それらは魔法よ、ソフィーと同じ、自分で自分にかけてしまった魔法。私は思うんです、優しい女の子たち、魔法にかかる前に戻して、と。
さて、

ソフィーはどうするのでしょうか。

 

掃除をします。

 

自分がこうするべきと思ったことや楽しいこと得意なことをするんです。箒を元気に掃いてるソフィーの生き生きとしたこと!そして、窓を開けて美しい景色を見たソフィー。

 

あれ、背筋が伸びてまるで少女のようなはしゃぎっぷり。

 

美しいものを美しいと思う素直な心のままでいれば、負の魔法は力を失う。だからありのままでいようね。そんな優しい風の声が聞こえてきます。


さてここで中盤、ハウルの闇が見えてきます。魔法使いでとっても綺麗な男の人。臆病で怖がりで、なのに自分が美しくあることにこだわって…。彼もまた負の魔法にかかっているのかもしれないですね。ハウルもまた、変な髪色になって怒って絶望するけれど、そのせいでハウルにかかった負の魔法も弱くなって、ソフィーにありのままの弱さを言います。そこでソフィーの元気な性格がハウルの力に。魔法使いサリマンの元へ行くソフィー。

階段のシーンはとっても面白い!

 

荒地の魔女も血の通った人間なのだなぁ、と読者に決して善悪の線を引かせません。

 

大好き、ジブリ作品のこういう所。だって善と悪に世界を分けたら、自分のことも分けなきゃいけない。私はいい人でいたいもの。でも、いられなかったら、あなたは私を殺すのね。そんな寂しい世界にいたくない。誰だってそうです。


ソフィーの話に戻ります。
サリマンにも臆さず、ソフィーは自分の心に正直な言葉を言います。

「でもあの人は正直よ。自分にまっすぐなだけ。ハウルは来ません。魔法使いにもなりません。悪魔とのことはきっと自分でなんとかします。私はそう信じます!」

あぁ、鳥肌がたちますね。ソフィーの負の魔法が解けた!
でも、そう簡単にはいきません。「恋してるのね」と言われるとソフィーは一気に自信がなくなってしまいます。可愛くない自分が、ハウルに恋だなんて…。
庭のシーンでもこうした魔法と魔法のぶつかり合いが起きます。
「本当のことを言って。私ハウルの力になりたい」、でも、ハウルに綺麗だよと言われても信じられず…。

 

がんばれ、がんばってソフィー!

お願いだから信じて。あなたなら力になれる。あなたならできるよ。けれど自分でかけた負の魔法は簡単には解けません。だって怖い。負の魔法は傷ついた心を鎧で覆って守ってくれるから…。


けれどソフィーはついに動きます。自分を守ろうとしてくれるハウルを、今度こそ守りたい、と。愛する人のために。もうソフィーは自分を取り戻しました。

 

見て、灰色の素敵な髪に、慈愛に満ちた潤んだ瞳。

 

ハウルの心臓を奪った荒地の魔女にも、そのままありのままソフィーで接します。「お願い、お婆ちゃん」と。決して責めず奪わず、ただ伝えます。ハウルは私の大好きな人だから、どうかお願い、と。荒地の魔女もそんなソフィーには優しく、隣国の王子も助けハウルカルシファーも助けちゃうソフィー。負の魔法から解き放たれた女の子はこんなにも素敵な力を持っていたんですね。なぜこんなにも優しい人たちばかりなのでしょうか。…きっとそれはソフィーの持つ力なのでしょうね。優しくある人には優しくなってしまう。人の性です。
ハウルの動く城はどこまでもハッピーエンドです。戦争も終わる、みんな仲良し。私はここに、どうしてもハッピーエンドに描かなければならないという監督の信念があったのではないかと思います。自分を取り戻して負の魔法から解放されて、でも前の私とはちょっぴり違う素敵さを身につけたソフィー。彼女の得るものはハッピーエンドでなければならない。

あなたも幸せになれるんだよ。

だからほら、自信をもって、ありのままのあなたでいてね。

幸せになろう。

そんなメッセージが伝わってくるようです。

はじめまして。

アニメーションは、映画でもなければ小説でもない。けれど時には映画のように、主人公の物憂げな、たった一瞬の表情で物事を語り、時には荒々しく人を殴りつけるように紡がれる鋭い言葉で語る。アニメーションは映画と小説、それぞれ良い部分を良いタイミングで効果的に使うことができます。


「映像だけで語るにはあまりに複雑で、言葉だけで語るにはあまりに浅すぎる」

恐らくアニメーションとはそれがあるべき姿なのではないでしょうか。

 


スタジオジブリ作品にはそういった作品が多くあります。

私がジブリ作品を好むのはそれも理由の一つでしょう。

 

私はあなたに伝えたい。

 

私がここから学んだこと再確認したこと、私はこの世でたった一人で、私の気づいたことがたった一つであるならば、私はきっと、価値があるから。